友禅作品集(コクーン)
「コクーン」とは繭玉のこと。蚕たちの白くやさしい宇宙。無限大を表すマーク∞にも似ています。
人はこの美しい造物を犠牲に絹地をつくりました。
魂。元素のように宇宙に偏在し、万物に宿っては去っていくものなのか・・・
その宿る以前の未生の虚体が、ふとした次元のゆらぎにほのみえたら・・・
蚕たちへの鎮魂の気持ちからでしょうか、私にはこんな象にみえるのです。
象はみえても肉体がないのですから、小さな友を踏みつけることも、ましてや自分が生きるため
ほかの友を食べる必要もなく・・・。
人が感動したり感謝するとき、思いやりの心を持つときは、胸の奥のコクーンも輝いているのでは
ないでしょうか。